
今回はチェコの「PRIM」という時計の着用レビューになります。
日本での知名度は低いですが、1945年創業のマニュファクチュールブランドです。
「端整(たんせい)」を意味するブランド名の時計は、スタンダードでありながらどこかノスタルジックな雰囲気を漂わせます。
その中でも今回レビューするのが「レガシー1 ヤン・レツル」というモデル。
普段から試着をさせていただくことはあるんですが、今回の「レガシー1 ヤン・レツル」はわざわざ記事にしたくなるほど魅力的な時計でした。
ご協力いただきました福岡天賞堂さんにはこの場を借りてお礼申し上げます。
「レガシー1 ヤン・レツル」のデザイン
文字盤
すぐ目に入ってくるのがブレゲ針とブレゲ数字。
文字盤にはコールドエナメル加工がなされ、風防にはボヘミアンガラスが使用されています。
僕が褒めたいのが文字盤の潔さ。
通常、このデザインだと6時位置にスモールセコンドやデイトを付けたくなりますが、この時計は「CZECH MADE」の文字のみ。それもかなり小さい。
シンプルと言ってしまうのは簡単ですが、昨今これだけ引き算をしているデザインは本当に少ないと感じます。
試しに「デイト無し 3針」で検索してみてください。選択肢は意外と少ないはずです。
特徴的なブレゲ数字が隠れることもなく、純粋にエナメルとブルースチール針の美しさを堪能することができる空間を作り出しています。
針
前述した通り、針は全てブルースチールでとても綺麗に光ります。
レガシー1 ヤン・レツルの針は光の当たる面積が広いので、よりブルースチールの美しさが際立ちます。
分針は先端が曲がっていて、きちんとインデックスに届いているので、時刻の読み取りや時刻合わせがしやすいというのも高評価。
風防
風防はドーム型ですが、側面から見るとそこまで盛り上がってないのが分かります。
レトロな雰囲気を持つ文字盤にピッタリです。
ムーブメント
ムーブメントは自社製のcal.93。3/4プレートなのは近隣のドイツの影響でしょうか?
全体にローズゴールドメッキ加工が施されているのは珍しいですね。
ケースバックには「広島県物産陳列館(原爆ドーム)」の刻印がなされています。
チェコの時計になぜ日本の広島の建造物が刻まれているのでしょう?
それはこの時計について調べていくと分かってきます。
モデル名にある「ヤン・レツル」とは?
ヤン・レツルとはチェコの建築家で、1915年に竣工された広島県物産陳列館(原爆ドーム)の設計者です。だからケースバックに刻印がなされているんですね。
レツル氏はこれ以外にも日本で複数の建築物の設計を手掛けていますが、残念ながら広島県物産陳列館以外は消失してしまっています。
この「レガシー1 ヤン・レツル」は、そんな同氏の没後90年・広島県物産陳列館の竣工100周年という節目の年である2015年に、「レガシーコレクション」の第一弾として発売されました。
同氏の功績を称え、日捷友好の証として発売された100本の日本限定モデルになります。
「レガシー1 ヤン・レツル」の基本スペック
- ケース幅:38mm
- ケース厚:12mm
- ラグ幅:20mm
- パワーリザーブ:48時間
- 防水:5気圧
- 風防:ドーム型ボヘミアンガラス
- 機構:手巻き
- 価格:¥420,000(税抜き)
- 備考:ブレゲ針、ブレゲ数字、コールドエナメル加工、日本限定モデル
- 製品ページ
価格は税抜きで42万円と少々お高め。
初めて機械式を買う人というよりは、このデザインとスペックの良さに気付ける玄人向けな時計と言えるかもしれません。
PRIMを買うなら正規店で
PRIMは並行差別がありますが、その取扱店は全国に10店舗しかありません。
8つの中で九州唯一の取扱店である福岡天賞堂さんはPRIMのほぼ全てのモデルを取り扱っています。
お近くにお住まいの方はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
また、近くに取扱店が無いという方は公式オンラインショップもあります。
まとめ
日本ではほとんど情報が無いブランドですが、その時計は両国の繋がりを感じさせるものになっています。
広島県物産陳列館がチェコ人の設計だったなんてこの時計に出会うまで知りませんでした。
見た目だけではなくバックボーンにも美しさを感じる時計は、間違いなく唯一無二です。
日本人としてチェックしておきたい1本ではないでしょうか。