先日、IWCのポルトギーゼを購入したことを記事にしました。
憧れのポルトギーゼ・クロノグラフ青文字盤(IW371491)を購入! – 青に惹かれて。
しかし憧れの時計とは言うものの、その歴史については曖昧なところがあったのでこれを機に勉強がてら記事にしてみました。
タイトル通り簡単に知りたい人向けの内容にしたいので、創業時を中心に端的にまとめています。
もっと深く知りたい方は、IWCの公式サイトを熟読することをおすすめします。なかなかボリューミーでおもしろかったですよ。
※引用元はページの最後にまとめてあります
IWCの歴史
IWC会社概要
出典:IWC公式
- 社名:インターナショナル・ウォッチ・カンパニー
- 創業者:フロレンタイン・アリオスト・ジョーンズ(米国出身の時計師)
- 創業年:1868年(明治元年)
- 創業地:シャフハウゼン(スイス)
- 目的:米国市場向けに高品質な時計を製造すること
正式名称を知っている人からすれば、創業者がアメリカ人というのは想像に難くないですね。
その目的は米国の先進的な生産システムと、スイスの時計職人の技を融合させることで高品質な時計を製造し、アメリカ市場に流通させることでした。当初はあくまでアメリカのため、だったんですね。
1868年の日本は明治元年、まさに明治維新の始まりでした。「明治元年創業のブランド」と覚えておけば話の種にもなりそうです。
創業地であるシャフハウゼンは、スイスとドイツの国境にほど近い場所にあります。
僕はこの記事を書くまではずっと「シャウハウゼン」だと思っていました…
ちなみにGPS機器メーカーのガーミンのグループ本社もここにあり、チェルシーFCを初のビッグイヤー獲得に導いたロベルト・ディ・マッテオの出身地でもあります。
なぜ創業地にシャフハウゼンを選んだのか?
出典:スイス政府観光局
- 近代的な工業用地だったから
- ライン川の水力を利用できるから
- 時計製造の歴史があったから
ほとんどの時計ブランドはジュネーブなど、フランス語圏である西側に拠点を置いています。
ジョーンズもフランス語圏で創業しようとしましたが、彼の計画は西側の職人たちの賛同を得られなかったようです。
そこからなぜシャフハウゼンで創業することになったのか?
ここで登場するのが、シャフハウゼン生まれの時計師であり実業家であるハインリヒ・モーザー。彼は、同じシャフハウゼン生まれの時計ブランド、H.モーザーの創業者です。
モーザーは故郷であるシャフハウゼンを発展させる為に私財を投じ、ライン川を水源にしたスイス初の水力発電所を完成させていました。
これを武器に企業を誘致。そこに興味を持った一人がジョーンズだったのです。
モーザーから工場と電力を借り入れたジョーンズは以降、IWCを成長させていきます。
西側の職人がジョーンズの計画を受け入れたり、モーザーの協力がなければIWCは今とは全く違う存在になっていたかもしれません。
これを知るとIWC好きとしてはモーザーの時計も欲しくなるのですが、いかんせんお値段が…(笑)
創業者の想いとIWCの時計づくり
IWC の伝統は、アメリカ特有の開拓者精神と起業家精神に深く根ざしています。
IWCは創立当初からジョーンズが抱いていた展望を大切にし、堅実で高精度、かつ堅牢で信頼できる時計の製造という価値観を守り抜いています。
機能的な統合性と控えめなエレガンスの融合こそが、フローレンス・アリオスト・ジョーンズが掲げたビジョンであり、その理想は現在のIWCでも輝き続けています。
※引用元は全てIWC公式
公式サイトを眺めていると、たびたびこういった文言がみられます。
IWCの時計はよく「質実剛健(飾り気がなく、たくましいさま)」と表現されることが多いですが、企業精神に乗っ取った時計づくりをよく表現している言葉だと思います。
質実剛健で内には熱いものを秘めている
IWCはそんなブランドだと、今回調べていて感じました。
ポルトギーゼの歴史
はじまりは2人のポルトガル商人からの注文
- 誕生年:1939年(昭和14年)
- 誕生のきっかけ:ポルトガル商人による依頼
- 当初のケース幅:41.5mm
- 特徴:アラビアインデックス・レイルウェイ分目盛り・リーフ針・6時位置スモールセコンド
ポルトギーゼが誕生したのは1939年、IWC創業から71年後のことでした。
ロドリゲス、テイシェイラという2人のポルトガル人商人が、マリン・クロノメーターに匹敵する高精度な腕時計を注文したのが始まりです。
彼らの顧客であるポルトガル商船の船長や将校が、腕に着けられる大きな時計を求めていたからです。
IWCの技術者たちは、高精度な懐中時計用ムーブメントを腕時計ケースに収納することでこれを実現しました。
よく「ポルトギーゼは大きい」と言われますが、懐中時計用のムーブメントを使用していたという誕生背景を考えると妥当ではないかと僕は思います。
出典:IWC公式
41.5mmのケース幅・アラビアインデックス・レイルウェイ分目盛り・リーフ針・6時位置のスモールセコンドと、現在のポルトギーゼとデザインがほとんど変わっていないのは驚きです。
2020年にはこの初代ポルトギーゼのデザインを現代風に再解釈したと言ってもいい、「ポルトギーゼ・オートマティック40」が発表されました。
記事が見つかりませんでした。
1993年の復活から現在へ
出典:IWC公式
そんなポルトギーゼですが、1993年の”IWC生誕125周年記念モデル”による復活まであまり製造されませんでした。
今でこそ普通ですが、41mmというサイズが当時の人たちに受け入れられなかったのではないか?といわれています。
要は懐中時計をそのまま手首に乗せるような感覚ですからね…そりゃあビックリでしょう。
出典:IWC公式
しかし、この1993年を皮切りにポルトギーゼには様々なモデルが登場します。
ミニッツリピーター、ラトラパンテ、パーペチュアルカレンダー…そんな新作・新機構ラッシュの中、ポルトギーゼの代名詞ともいえる「ポルトギーゼ・クロノグラフ」が誕生したのは1998年のことでした。意外と最近です。
復活までは人々に評価されない時期を過ごし、1990年代以降栄華を迎えたポルトギーゼは、時代を先取りしすぎた時計だったのかもしれません。
まとめ
出典:IWC公式
- 創業は明治元年(1868年)
- 創業者はアメリカ人
- 米国市場向けに高品質な時計を流通させるのが目的
- シャフハウゼンを選んだのはH.モーザーの協力があった
- ポルトギーゼは1939年に誕生
- 2人のポルトガル商人による注文が始まり
- 現在のポルトギーゼ・クロノグラフは1998年に誕生
海の男たちの命を預かる時計から始まったポルトギーゼ。そしてそれを生み出したIWCというブランドの根幹にある開拓精神。
IWCの中でも1~2を争う歴史ある時計は、様々な想いを乗せて今僕の手元にあることを実感しています。
たまにはこうした歴史に思いを馳せてみるのも、腕時計の楽しみ方の一つではないでしょうか。
歴史を学んだらテスト問題にチャレンジ
IWCとポルトギーゼの歴史をインプットしたところで、今度はアウトプットに移りましょう。
ポルトギーゼに関する問題を独自に作ってみましたので、興味のある方はチャレンジしてみてください。
ちなみにかなり難しいです。
オーナーでも激ムズ⁉ ポルトギーゼに関するテストを作ってみました – 青に惹かれて。