初めて機械式腕時計を購入し、腕時計を趣味にしてから約3年が経ちました。
この3年で多少は腕時計に関する造詣も深くなりましたし、色んな時計を見てきました。
それで思ったんです、初めての高級時計にタンジェントを選んだのは間違ってなかったと。
シンプルな見た目のタンジェントのどこにそう思わせる魅力があるのか?
この記事ではその理由を紐解いていきたいと思います。
タンジェントに関するレビュー記事は2回書きましたが、今回はより見聞が広がった上で書くレビュー記事となっています。
過去2回のレビュー記事はこちら
僕が購入したタンジェント
タンジェントと言っても、どのタンジェントかによって話は変わってきます。
まずは僕が購入した「タンジェント38」について軽くまとめてみます。
- ケース幅:37.5mm
- ケース厚:6.7mm
- 防水性:3気圧
- パワーリザーブ:約43時間
- 価格:
24万5,000円(税抜き)
現行モデルは27万円(税抜き) - 機構:手巻き
- Ref:
TN1A1W138
現行モデルはTN1A1W238 - 製品ページ
オーソドックスなノンデイトの手巻きになります。
タンジェント「38」とありますが、実際のサイズは37.5mmです。
最初の1本にノモスを選んだ理由
タンジェントについて語る前に、ノモスを初めての高級時計に選んだ理由について述べていきましょう。
購入当時の僕はこう述べています。
初めての高級時計なので「どんな場所でも自信をもって着けられるフォーマルな時計を選ぼう」と決めていました。
(中略)
また、最低でも10年は使おうと思っていたので飽きのこないデザインというのも重要でした。
それから2年以上経ちますが、この考えは間違ってなかったと思います。我ながら慧眼(笑)。
というか、当時はこの先何本も買うことになるとは思っていなかったからでしょう…(苦笑)
手巻きを選んだのは偶然です。当時は手巻きと自動巻きがあることすら知りませんでしたから。
なぜタンジェントを選んで正解だと思うのか?
白文字盤のドレスウォッチは腐らない
※タンジェントがドレスウォッチとして使える前提で話を進めます。
極論を言ってしまうと、白文字盤のドレスウォッチ(もしくはそれに近いもの)を持っていればその人の腕時計人生はほぼ終了します。
仕事や冠婚葬祭など、人生の幅広い場面で使えるからです。
白文字盤は視認性が高いのも重要なポイント。暗めの文字盤だと老眼には見づらいという話もよく聞きますし…長く使えることになります。
デザインも良いです。
バーインデックスだと少しシンプルすぎる。そこに5つのアラビアインデックスとスモールセコンド、青焼きの針が加わることによって個性が生まれているように思います。
また、シンプルゆえどんなカラーのストラップにも合う汎用性の高さもあります。
僕も夏場はカラフルなパーロンストラップを着けてカジュアルに楽しんでいます。
腕に吸い付くような着け心地の良さ
ケースの厚さはわずか6.7mm。この数字はとても優秀です。
例えば、モデル名に「スリム」と付いているジャガー・ルクルトの「マスター・ウルトラスリム」シリーズよりも2mmほど薄いです(一部例外を除く)。
この薄さによって腕に吸い付くような着け心地です。良い意味で存在感がなくなります。
「邪魔にならない」というのは使う上で大きいですよね
机にピッタリつけても時計が浮かないのも最高です。
キーボードの操作中も時計が気になりません。これはデスクワークする人にとって非常に大きなメリットだと言えます。
ただ、ここでどれだけ「着け心地が良い!」と言っても文字で伝えるのは限界があります。
何をもって着け心地が良いのかは人によって違うでしょうから、ぜひお近くのノモス取扱店で実機を試着してみて下さい。
20万円台で買える
手巻きとはいえ、27万円(税抜き)という価格は魅力的です。
ただ、購入当初はデザインしか見ていなかったので「高っ…」と思ってました。
しかし主に以下の3点の価値が分かると、今では「安っ…」と思えるようになりました。
- クロノメーター級の精度を誇る自社製ムーブメント
- 腕時計には珍しいシェルコードバンストラップを採用
- 塗装ではなく、コストのかかる青焼きの針を採用
美しいムーブメント「キャリバーα」
自社製ムーブメントであるキャリバーαの美しさは同価格帯では群を抜いていますね。
ノモスの中では「ベーシックなムーブメント」とされていますが、高級機に乗っていてもおかしくない仕上げの数々が施されている、原点にして頂点と言ってもいいムーブメントだと思います。
自動巻きだと30万円を超えてきますが、手巻きタンジェントはまだまだお買い得だと言えるでしょう。
キャリバーアルファの美しさを堪能するなら、こちらの公式動画もおすすめです。
腕時計には珍しいシェルコードバンストラップ
ノモスの時計にはほとんどがホーウィン社製のシェルコードバンストラップが標準で付いてきます。
腕時計にコードバンベルトが付くのは珍しく、ここでもノモスのこだわりを感じます。
独特のツヤが魅力的ですが、特筆すべきはその頑丈さです。
僕が3年使っているものは流石に経年劣化が現れていますが、ひび割れなどにより使えなくなるということには今のところなっていません。
ホーウィン社のシェルコードバンについては過去記事で詳しく話しています
青焼きの針
ノモスの針は焼くことによって青色を出す「青焼き」という手法を採っています。
この青焼き針がまた美しいんです。自然光に当てると「キラッ」と現れる青は所有欲を満たしてくれます。
青焼きが施されている20万円台の時計はほぼ無いんじゃないかと思います。
やや不満に感じるところ
ここまでべた褒めしていますが、不満が無いわけではないです。
特に感じるのは以下の2点。
- インデックスがプリント故に高級感はない
- リューズがやや小さい
高級感はない?
“高級感”と言うと語弊がありますが、「インデックスがエンボスかアプライドならもう少し質感が上がるのになぁ」と思う時があります。
高級感を求める人には向かないかもしれません(そもそもそういう人の目に留まる事が少ないとは思いますが)。
ただ、ここがノモスの不思議なところで「高級感は無いんだけど随所にちりばめられたこだわりが高級感を生み出している」という感じなんです。
これはもう手に入れないと分からないと思います。少なくとも僕のボキャブラリーでは表現できません(笑)
ブロガーなのに…
リューズは小さいが操作感は良い
僕は手が大きいんですが、リューズが小さく感じますね。もう一回りほど大きければ巻きやすいと思います。
手巻き時計ですので、使う度に30~40回ほど回さなければなりません(止まっている場合)。
ですので、可能であれば試着の際にリューズの操作もさせてもらうと良いと思います。
ただ、リューズ自体の操作感はかなり良いです。引きやすく針飛びもしません。
まとめ
- 永く使えるデザイン
- ケース厚6.7mmによる着け心地の良さ
- 高級機のような装飾が美しいムーブメント
- 腕時計には珍しいシェルコードバンストラップ
- 手間が掛かるが美しい青焼き針
- これらが20万円台で手に入るという事実
- 人によっては高級感はない?
- リューズは小さいが、操作感は良い
「永く使う時計はシンプルなデザインがいい」
「フォーマルシーンには白文字盤・3針・革ベルト」
などなど、よく見聞きする言葉にはちゃんと理由があるというのが分かります。
この記事を読んでいる人の中にはもしかしたら「最初にノモスで良いのだろうか…?」と悩んでいる人もいるかもしれません。
そんな時は色んな時計を見比べてみて、改めてノモスを見て欲しいと思います。
そこでその価値に気付けば買えば良いですし、分からなければ見送れば良いと思います。
ノモスの時計全般に言えることですが、知識と見聞が広がれば、よりその価値が分かる時計と言えるでしょう。
僕は最初から価値は分からず、デザインと使い勝手で選びましたが、このタンジェントが腕時計選びの軸の一つとなっています。