IWCのポルトギーゼ・クロノグラフ。
1939年の登場以来変わらないそのデザインは多くの人を魅了しています。しかし、そんなポルトギーゼにも変わるものがあります。
それは価格です。
他のブランドと同じく、近年のIWCの値上げ(特にその回数)は著しいものがあり、あれよあれよという間に価格が上がっています。
この記事を書いている段階でのポルトギーゼ・クロノグラフ(革ベルトSSモデル)の価格は税込み951,500円。
ちなみに僕が買った2019年当時は、自社ムーブメントではなかったので70万円台でした
おそらくあと2回ほどの値上げで税込み100万円を超えてしまうでしょう。
現にSSブレスレットモデルは2021年から100万円を超えています。
この動きを見て、
「知名度抜群で人気もあるポルトギーゼが、100万円という躊躇する金額になってしまったらその評価はどうなるんだろう?」
とふと気になりました。
そこで今回は、「100万円を超えたらポルトギーゼの評価は下がるのか?」僕と各ポルトギーゼオーナーさんの意見をまとめてみました。
ポルトギーゼが100万円以内で買える今だからこそ、迷っている方はぜひ参考にしていただけたらなと思います。
結論から言うと結論は出ていません。
あくまで考え方を楽しんでいただけたらと思います。ポルトギーゼオーナーさんに限らず、読んでるみなさんも一緒に考えてみてはいかがでしょう。
もくじ
そもそも100万円を超えたらダメなのか?
試しに”ポルトギーゼ 100万”で調べてみると否定的な意見も少なく無く、まとめるとこんな感じ。
- 「この質感でアンダー100万だから良かった」
- 「ポルトギーゼが100万円オーバーはちょっと…」
- 「ポルトギーゼに100万のイメージはない」
- 「100超えるなら他の選択肢を選ぶ」
とはいえ値上げに否定的な人が多いのは当たり前で、「俺はポルトギーゼの品質なら値上げは妥当だと思うよ」なんて納得する人は稀でしょう。
僕は腕時計において100万円というのは一つのボーダーだと思っていて、然るべき時計に設定される数字であると考えています。
ポルトギーゼがその「然るべき時計」に入るのかどうかが今回の記事の焦点となります。
果たして僕たちのポルトギーゼに対する評価が高かったのは、100万円を超えないからだったのでしょうか?
やはり100万円を超えるとポルトギーゼへの評価は厳しいものになってしまうのでしょうか?
今から各々の意見を見ていきましょう。
ポルトギーゼが100万円を超えたらその評価は下がるのか?
オーナーさん達には事前に下記の質問を送っています。
Q1:ポルトギーゼ・クロノグラフが100万円を超えたらその評価は下がると思いますか?
Q2:Q1で答えた理由
回答いただいた方にはこの場を借りてお礼申し上げます。
記事の公開に間に合わなかった回答は後日追記します
僕の考え
Q1:評価は下がらない
Q2:やっぱりポルトギーゼ・クロノグラフは好きなので、100万だろうが200万だろうがいずれ買うことになっていたと思います。自分の「好き」に対して一切妥協しないのが趣味の一面だと僕は思っていますが、自分のポルトギーゼに対する「好き」が変わらない限り、評価も変わらないですね。つまり「評価を決めるのは価格では無く自分の感情」そんなところです。
とはいえ「100万円以下であの質感を実現しているからこその好評価」という面があることも非常によく分かります。そこはブランドとしての魅力でもあるので、値段を上げればいいわけでは無いとも思います。
オーナーさん達の考え
「評価は下がらない」と答えた人の意見
私が買ったときに100万円を超えていたとしても、いずれ購入していたと思うからです。
100万円超のモデルと比べても、ポルトギーゼのデザインや存在感は負けていないと思います。
ただ、もし150万円近くまで上がってしまった場合は、アルパインイーグルやフィフティーシックスなど同じくらいの価格帯で魅力的なモデルも増えるので、悩ましいですね笑
Aifaさん
一言で”ポルトギーゼの評価”といっても色々な面に対してあると思っていますが、単に時計の価値と捉えたら下がる事は無いかなと思います。
ただ、ポルトギーゼがアンダー100である事の意義は大きいと考えており、ワタシ的には非常に残念ではあります🤔
Hiro-884さん
好きなので。
まあぶっちゃけて言うと約87万だった定価が上がっていくところをリアルタイムで見てたので仮に100万を超えたら「うーん…」とは思いますね。
IWCという名門ブランドの自社ムーブ搭載モデル(それもクロノグラフ)が100万未満で買えるというのは評価できるポイントの1つだと思うので。
(相対的に)安かった頃を知らない人だったらそうは思わないかもしれませんが…
値上がりは昨今の鋼材の高騰や円安によるものだと思いますが、価格が上がったぶん仕上げが良くなるわけでもないでしょうしお買い得感が薄くなるのは否めないですね。
でも好きならあんまり関係ないと思います。
理由になってないのですが、自分が購入したクロノグラフモデルは定価が100万円超えてました。
気になっていたのはケース径が42mmという点で、現物が見れると聞いてすぐに高速バスのチケットを取って試着しに行ったのはいい思い出です。
通常のクロノにも当てはまると思うのですが、モノの価値はその人が決める事なのです。他人の評価は二の次です。
カフェインさん
私の購入したモデルが100万を超えるため、あまり100万を超えるかどうか気にしていませんでした。ポルトギーゼを購入したいという需要が変わらないのであれば、そこまで影響がないのではないかと考えています。
りのよさん
kbmさんからは非常に長文ではありますが、おもしろい意見をいただきました。悩みましたが全文を掲載します。
回答の前提:
*ここでの「評価」は私個人による評価というよりも、時計クラスタ(潜在クラスタを含む)からの全体的な評価を指すものと捉えています。
*個人的事情として重要なのは、私が機械式時計の1本目としてポルトギーゼ・クロノグラフ(以下、ポルトギーゼ)を選んでいるという点です。
理由:
個人的な予想を要約すると、「いったん下がって、徐々に元の評価に戻っていく」となります。主な理由は以下の通りです。
第1に、既存オーナーとしての視点です。
時計の評価は様々な要素で決まると思いますが、最も重要なもののひとつが既存オーナーからの生の評価だと思います。
実際身銭を切って一定期間使う前に妥当な評価をするのは(専門メディアといえど)やはり難しいからです。
オーナーの評価軸もまた様々だとは思いますが、こと価格面からみれば、「現行価格を出しても再調達したいと思えるかどうか」に集約されるかなと。この点からみると、ポルトギーゼの正規価格が100万円を超えていた場合、私は正規では買わず並行か中古で購入すると思います。
これはポルトギーゼ自体の評価を下げたというわけではなく、あくまで10年以上前に2ケタで旧モデルを購入して継続使用し、その他のブランドも一通り通った時計ヲタクの個人的な感覚によるものです。IWCには並行、中古購入によるデメリットは今のところほぼないことも大きいです。
第2に、100万ポルトギーゼの正規品を潜在クラスタに勧められるかどうかという視点です。
私自身が会社の先輩からポルトギーゼを教えてもらい、1本目の機械式時計として手に入れた経緯があるのでこの視点は個人的に重要です。
私はやはり勧めにくいと感じます。やはり100万円(3ケタ)という金額は時計購入を考える上でメルクマール(指標)になる金額であり、こと1本目の機械式時計としてはかなりハードルが高いと思います。
また、「改良して見た目そのままに100m防水になったよ」とか、「ムーブメント改良して39mm径作ったよ(これ自体反発を生みそうな気もしますが笑)」とかではなく、大きなトリガーもなくなんとなくジリジリとあがって100万円超えちゃったよ、という経緯を知っているとなおさら勧められないかな、と。
私であれば、1本目は2ケタのスピードマスターあたり、2本目以降でポルトギーゼも含めた3ケタモデルを並行、中古の可能性も踏まえて勧めると思います。
第3に、時計クラスタの年齢構成という視点です。
第1の理由で述べた通り、私個人が100万ポルトギーゼ には基本ネガティヴなので、既存オーナー(30代以上を想定)にも同様の反応をする方が多数派といったん想定します。
そして第2の理由で述べた通り、既存オーナーは自分があまり快く思っていない100万ポルトギーゼをかわいい後輩にはやはり勧めにくいと思うのです。するとそもそもの100万円という高いハードルも相まって、ポルトギーゼは潜在層も含めた一般的な若年時計クラスタ(20代を想定)はアクセスしにくい時計の1つになっていくと思われます。
するとポルトギーゼオーナーの年齢層が上方で固定化し、そこからの相対的に低い評価が全体評価のコアになっていくことで、2ケタ時代に比べて3ケタ時代のポルトギーゼへの評価は相対的に下方に固定されていくのではと想像します。
ただし2ケタ時代のポルトギーゼオーナーもずっと現役なわけではなく、時計趣味から降りたり、ひいては死んじゃったりするわけで、いつかは3ケタ時代のポルトギーゼオーナーが主流になると思います。
その時には、ポルトギーゼは3ケタが当たり前の時計になっているはずで、元々がとてもとても美しくすばらしい時計なので(防水性もアップしてるはず‼︎)、本来のマスターピースとしての評価をロングスパンでは徐々に取り戻していくのではないかと思うのです。
以上、妄想も多分に含んだかなり大仰な話になってしまいましたが、改めてまとめると100万ポルトギーゼへの評価は、「いったん下がって、徐々に元の評価に戻っていく」と予想します。
ps:やや辛口の意見かもしれませんが、今も昔もポルトギーゼは大好きですし、アプローチを工夫して、今後も推していきたいと思えるマスターピースであることに変わりはありません。
kbmさん
IWCだけが値上げを続けている訳ではなく、機械式腕時計業界全体が「せーの」で値上げしているので、相対的なポルトギーゼの優位性は変わらないと思っています。
仮にポルトギーゼだけが値上げしたとしても、替えの利かない唯一無二な時計だと思いますし、好みにストライクで代替選択肢がない自分にとってはコスパ度外視で魅力を感じざるを得ないとも思いますね。
時計全体の値上げそのものに関しても、日本人の所得が何十年も置き去りになっていたり円安政策によって実質的な時計購入の負担が増えてしまっているのもある訳で、値上げ行為だけをマイナスと捉えるのも筋違いな所はあるかなと思ってしまいます。
とつもつさん
時計を選ぶ基準にもよりますが、ルックスとロマンに尽きると思います。どれ選んでも高いので笑
ポルトギーゼの歴史やコンセプトはビジネスマンには刺さるんでないかなと。人によってはいわゆる上がりの時計にもなると思います。
machronoさん
100万円を超えてもポルトギーゼ・クロノグラフ、ポルトギーゼ・オートマティック40ともに素晴らしい時計なので評価は下がらないと思います。
が、100万を超えてくるとどうしても他社の時計が視野に入ってきてしまい、選択肢が広がってしまうので難しい所だと思います。
かいわれおじいちさん
デザインや質感が好みなのは間違いありませんが、ポルトギーゼやIWCが持つ歴史やエピソードに惹かれていたので、品物としても作品としても下がる評価は無いと感じます。
しかしながら100万円を超えてくると選択肢が広くなるので、購入の意思決定まで時間がかかるであろう事は想像に難くありません……
マナさん
値段はその時のポルトギーゼの価値を表す指標の一つでしかないし、ポルトギーゼに惹かれる人はそのシルエットや歴史的背景等を重視していると思うので、オーナーの一人としては単純に価値が上がったのだとむしろ歓迎したい。
ポルトギーゼを好きになった人は私を含め、値段や資産価値は見ていないと思う。ただただ一目惚れしてしまった、それだけ。値段が上がったからといって何も変わらないと私は考えます。もちろん200万とか300万ともなれば話は別ですが。
※クロノは持ってないので三針での評価です
100万超えても価値が下がるとは思いません。進化させたペラトン自動巻き、フリースプラング、60時間のパワーリザーブという新世代のムーブメント。
仕上げの美しいケース、文字盤、針なので、むしろ今までかなりのバーゲンプライスだったんじゃないかと思います。
そりゃ安いに越したことはないのですが、昨今の腕時計業界の値上げ状況を鑑みると100万超えても仕方ないなと思います。
「評価は下がる」と答えた人の意見
クロノグラフには自社ムーブメントのcal.69355が搭載されているとはいえ、ヨットクラブに上位互換のcal.89361が搭載されている。
このことを考えると、クロノグラフが100万円を超えた場合には当然ヨットクラブの価格も上昇すると思われるが、現時点のヨットクラブの価格と100万円のクロノグラフを比較した際には相対的に割高感が否めないと感じる。
外観面での評価については、材質は既にオートマティックやヨットクラブがSSで100万円を超えているので評価を下げることはないと考える。
意匠においてはIWCの代名詞と言えるほどのものであり、元来よりオートマティックやヨットクラブよりも付加価値は高いと考えられるのでこちらも評価が下がることはないと考える。
以上より、個人的には意匠を重視するので評価は下がらないが、現在の日本の経済状況ではやはり外観意匠の評価よりも価格が評価に与える影響は非常に大きいと思われるため、下がらざるを得ないと思われる。
シュガーパンチさん
ポルトギーゼはあくまでも手の届く範囲の最高級時計のイメージがあります。100万円超えはその範囲を超えてしまいメインのターゲット層から外れてしまうのではないでしょうか。
100万円を超える質はないと思います。100万超えたら違う選択肢を取ります。アンダー100万での有力な実用時計だと思ってます。
100万円を超える時計ではないと思います。
外装の仕上げ、ムーブメントの仕上げにしても。
以前、ETAのムーブを使用してた時も「高い!」という評価が多かったと記憶しています。
ただ、いわゆる「エタポン」ではなく、かなり弄っていた事から評価する人と意見が分かれていた様に感じてました。
そして時は過ぎ、自社製のムーブを搭載し、旧型の値段を10万円程値下げをおこないましたね。※2019年末
その時の値段が適正だと個人的には感じました。
そして、自社製ムーブを搭載した新型の値段もギリギリ適正の範囲内かなと思いました。その後、値上げ、値上げ。
正直なところ、今後ポルトギーゼ・クロノグラフが欲しいという方がいらっしゃるのなら旧型を中古で購入、もしくは並行輸入での購入をオススメすると思います。
まとめ
いかがでしょうか?
結果としては「評価は下がらない」とする人の方が多かったですが、同じ結論でもその考え方は様々なのが分かるのではないでしょうか。オーナーの数だけ価値観があるのを改めて感じた記事となりました。
今回の記事を書いていて、王冠マークの某ブランドも昔はこうだったのかな…と一人想像します。いや、全ての時計ブランドが通る道なのかもしれません(なにせ腕時計に興味をもって日が浅いので)。
今回は匿名でも参加できるようにしたおかげか、忌憚のない意見が聞けて幅のある内容となりました。次回からこの方向性で行こうと思います。
参考になる意見はありましたか?この記事がポルトギーゼ購入の参考になれば幸いです。
今回ご協力いただいたオーナーのみなさんには改めてお礼申し上げます。
オーナーさんへのインタビューが載ってます
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ポルトギーゼオーナーさんへのインタビュー記事まとめ
ポルトギーゼオーナーさんへのインタビュー記事をまとめています。
それぞれのインタビュー内容を3行で簡単に紹介しているので、気になる記事にアクセスしやすいようになっています。
追記:100万円超えました
2022年8月にIWCの価格改定の知らせがあり、同年9月よりポルトギーゼ・クロノグラフは税込み100万円(1,017,000円)を超えることになりました。
本記事を書いてから半年も経たないうちに到達、というはちょっと想像していませんでした。
詳しくは記事にまとめています。
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